コザ銀天大学

いよいよ、決戦の時だ。

那覇浮島通りで行われた
綱引き大会にエントリーした『コザチーム』。

青年部長は、胸の高まりをおさえながら
「さいしょは、ぐー」のつぎに何を出そうかと考えていた。

小雨まじりの浮島通り。
国際通りを起点にゆるやかな坂道になっている。

じゃんけんで勝ったチームは、
当然、坂の下に陣地を選択する。

競技が綱引きであるわけだから
勝敗のゆくえは、９分９厘、最初のじゃんけんで決まるのだ。

我々の前の８試合とも、すべて、じゃんけんで勝ったほうが、
勝利をものにしていた。
事実がちゃんと物語っていた。

こんな綱引きもあるのかと疑問をもったが
とにかく、勝たねばならない。

青年部長は、決意した。
「よし、ここは、ぱー、ぱー、ぐー、ぱー、ぱー、ぐーでいこう。」

司会の掛け声が始まった。
「さいしょは、ぐー。じゃんけんぽん！」

相手が出してきたのは、ぱー、ぱー、ぱーであった。
ぱーしか出さない男がこの世にいるのだろうか。
青年部長は負けた。
背中に冷ややかな視線を感じる。

そこで、負けを確信した青年部長。
信じられない行動にでる。

青年部長　「審判長どの。審判長どの。コザチーム棄権します。」

審判長　　「えっ・・・」

少し耳が遠い審判長どのと青年部長が、わけのわからない
やりとりをしているのを遮るように

司会の声。「それでは始めます。審判長、はじめの合図をお願いします。」

みっともない青年部長の行動を
さも何事もなかったかのように無視し、
コザの名誉を守った司会者とは。何を隠そう知る人ぞ知る。
コザん人。Ｍｒ,スティービー。その人であった。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　つづく



このあと、だれも予想できない奇跡がおきます。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　青年部長　　仲田